——弓道は、まず選手になれないところから始まって、選手になっても結果が出るとは限らない。この3年間、どういう気持ちで向き合ってきた?
去年の夏くらいから、関関同*では選手に入ってはいた。ただ、選手に入った途端に的中が落ちることがざらにあって。
悔しかったし、試合に出ている人たちが羨ましかった。でも、中たっていないのは自分のせいだから。結果に一喜一憂しないようにしていた。当たるまで練習すれば、いずれ選手に選ばれるし、そこでいい結果も残せる。目の前の結果ではなく、もう少し長い目で見た目標を置いて、練習を続けてきた。
——それは、応援してくれる人がいたから?
それもあるし、自分が競技を始めた以上、結果を残したかったから…何か1つは。モチベーションとしては応援してくれる人と、結果を残したいという気持ち。この2つだね。
——春シーズンに入ってからは新人戦では優勝した。しかしそこから全関、早慶戦と負けが続いた。個人としてどう立て直した?
長期的な目標を持つようにしていた。長期的に当たるかは分からないけど、今年、何かの大会で結果を残したい。新人戦以降の試合で、どれか1つでも。そうやってふんわりと目標を置いていたのが1つ。
もう1つは、新人戦が終わった頃から的中が出だして、去年より弓道が楽しくなってきたこと。きついことを頑張るのは大変だけど、楽しいことなら、きつくても楽しめるから。そこは大きかったかな。

——腐らずに来られた。
出られなければ悔しい。でも次がある。そうやって切り替え続けていた。
——迎えた本番。納得のいく状態ではないところから当日を迎えたと聞いた。心がけたことは。
いろんな人から指導はもらうけど、最後に射位に立って的を狙って引くのは自分だから。
自分の射と考えに、絶対に疑いを持たない。最後まで自分はこうだと信じて、自信を持って引き切る。そう決めて本番に臨んだ。
——アリーナで引いて中るって、どういう感覚なんですか。
アリーナに立って最初に思ったのは、的がめちゃくちゃでかいなということ。志正弓道場*や他校の道場で引くときより、はるかに大きく見えた。
OBの方にも前日に「的でかいからいけるよ」と言ってくださっていて。これなら行けそうだな、と。こんなことを言ったら怒られるかもしれないけど、本当にふわふわした感じで臨んだね(笑)
——同期については。当日、自分ごとのように喜んでくれた人もいたと聞いた。

僕以上に喜んでくれる同期もいた。雰囲気は本当にいいね。……でもいざ聞かれると、難しいな(笑)
1つ挙げるとしたらこれかな。4月の定期戦前のある練習で、立ち*を全部三年生で埋めたことがあった。4人全員が三年生。しかも的中が80射73中。みんなポンポン当てて、あれはめちゃくちゃ嬉しかった。本番でもああいうことができたらいいなと思っている。
弓道以外でも馬鹿をやったり、面白いことはある。でもやっぱり弓術部の仲間だから。卒業するまでに、弓道でみんなで1つ結果を残したい。 それは強い思いとしてある。
毎年恒例だと思うけど、LINEのグループのアイコンを自分たちの王座の画像にして「何年王座」みたいにやっている。ああいう感じでみんなで王座に行って、伊勢で演武をしていたら、めちゃくちゃ思い出になるんだろうな。叶うかは分からないけど、それに向かってなら練習を頑張れる。

——ライバルでもあり、仲間でもある。
もちろん、1人ひとりの同期はライバルだから。負けたくない気持ちもありつつ、一緒に弓を引きたい気持ちもありつつ。仲間、という感じですかね。
——三年生としての目標は1つ達成した。シーズンが終わるまでの、これ以上の目標は。
リーグはみんなが持つ目標だと思う。僕も出たいし、活躍したい。それは間違いない。
ただ、自分の中で置いているのは、どれかの試合で20本皆中*すること。王座*もあるけど、まずは1試合20本、ちゃんと引き切る。それを目標にやっていきたい。

※関関同:関西大学、関西学院大学、同志社大学との試合の総称
※志正弓道場:慶應義塾大学日吉キャンパスの弓道場
※立ち:試合や練習で同時に射位に立つ選手の組
※皆中:ひいた矢がすべて的中すること
※王座:全日本学生弓道王座決定戦